検察官の定年延長のドタバタについて、危惧します。

今回は著名人がTwitterでハッシュタグを使って批判ツイートを行い、そこに一般人も連動する形で大量の批判ツイートが溢れた。その結果、今国会での強行採決が見送られたとか。

快哉を叫ぶ人たちの多さに、危うさを感じます。

今回の法案のとんでもなさはもちろんあるものの、比較するなら森友加計問題の方がとんでもないし、それにまつわる公文書改竄もさらにとんでもないし、安保法（戦争法）の方が1万倍とんでもなかった。それなのにその時は今回ほど盛り上がらなかった。もちろんワイドショーでも騒いだし、SNSでも騒がれた。しかし結果的に強行採決されたし、その強行採決で政府が倒壊するには至らなかった。背景としての新型コロナウィルスの有無はあるものの、1番大きな違いは、批判反対した層に違いがあったということだろう。それを生み出したのはそれまで政治的な発言をしてこなかった著名人による批判発言。そこから、これまで批判などして来なかった人たちにまで批判の輪が広がっていった。

もし、著名人が批判しなかったら、ここまで盛り上がっただろうか。政府が今国会での法案成立を断念しただろうか。

ということは、著名人が世論形成において占める影響力が、コマーシャル分野に限らず政治的分野においても高いということがはからずも証明されたということだろう。今回は左側の発言だったが、右側の世論形成にも効力を発揮すると考えるのが普通。だとすれば、右サイドがこれを次に利用してこないと考え得る根拠などありません。自民党の宣伝を大手広告代理店が担当している訳で、そこと芸能界の結びつきは強い。電通を通じて、例えば憲法について改正すべきという主張が著名人を通じて多数発信されれば、この国の標準的世論はイチコロなのではなかろうか。

とっても危うい。検察官の定年延長が先送りにされたことを手放しで喜んでいられるほど、今回の事例は簡単な話ではないと思う。