この記事の前に何を書いたっけ。ちょっと忘れちゃった。忘れたならひとつ前に戻って確認すればいいのにと思わないでもないし、この文章を読んでいる奇特な方もきっとそう思うだろうが、投稿用の画面からはひとつ前をチャチャッと確認することができない構造になっている。

　というわけで、前の記事のことなど確認もせずに、つまりこれから書くことの中にかつて書いたことのある内容と重複することがあるかもしれないということなのだが、容赦して欲しい。

　昨年チャレンジしていた全国通訳案内士試験に無事合格し、速攻で登録申請して3週間後に登録証が届けられ、これで晴れて全国通訳案内士になることができた。

　この試験は8月に5科目で行われる筆記の1次試験と、12月に行われる英語による面接の2次試験とで行なわれる。正直1次試験の英語を突破できるとは思っていなかったのだけれども、100点満点中70点以上で合格のところ、74点で突破した。その他の4科目も楽々の科目とかろうじての科目とはあったものの、すべてで合格ラインをクリアし、合格した。その結果進んだ12月の2次試験。10分程度の時間内で、与えられるお題についての2分間プレゼン、読まれる日本語文章の英訳、難題についての返事を英語で回答、の3つをクリアする。1次がマークシート式の選択問題だったのに対し、2次は模範解答など存在しない試験なので、発表まではなんともいえない気分で待たされる。結果として1次の合格率が16%で、2次の合格率48%。最終の合格率8.5%というけっこうな狭き門。よく通ったなとあらためて感心するが、とにもかくにも全国通訳案内士という肩書きを得ることができた。これ一応国家資格である。

　この国家資格で、晴れて「英語でガイドしますよ」と堂々と売り込みできるようになる。良かったなオレ。そんな矢先に、新型コロナウィルスのパンデミックだ。この半年ほどやってきたオランダの会社経由で紹介される観光ガイドの仕事も3月4月に入っていた予定が次々とキャンセルされることに。幸先よくないなと思うものの、じゃあ仮に通訳案内士試験に不合格になってまた来年受験ということだったらどうなのかということを考えてみたりする。もしそうだったとしたら、今頃オランダ経由のガイド仕事もキャンセル続出で、そこからの仕事以外を探すことも出来ずに次の12月の試験に向けて勉強するのみという状況でしかなかったので、その次のことをやることだってできるという点では、まあ多少は明るい状況と言ってもいいのではないだろうか。いや、そこと比較するかという話はあるんだろうけれども。

　それで、今の課題は主に3つ。1つ目は、ダイレクトにガイドの仕事を依頼してもらえるような糸口を作ってみるということ。2年前から細々とやっている英語による京都紹介ブログをチューンナップして、盛り上げるための様々なことをやっている。ブログ自体をもっと良いものにしつつ、SEO対策などにも取り組んでみたりしているところだ。Twitterやfacebookのアカウントでもアピールできるようにしていきたいし、金銭的な余裕ができれば、facebookで広告を実施したり、いろいろとできるんじゃないだろうかと思っている。

　2年前から細々とやりつつも盛り上げようとしてこなかったのは、全国通訳案内士の資格を持っていなかったからだ。資格を持っていない人は「私は英語のガイドです」ということもできない。無資格でもガイドをすることはできるけれど、それはどこかの旅行会社に雇われるか下請けでやるというだけの話。要するにインバウンド方面は盛上がってガイドの需要はあるので旅行会社は無資格者をかき集めれば事業拡大もできるけれど、独立して営業できない立場の人たちはそのままでは永遠に搾取されるということでしかない。なので営業は大変だけど旅行者から直接仕事を受けられる形で仕事しなければ意味がない。というわけで、通訳案内士の資格をとったのだ。

　資格をとったとはいえ、自分の英語に絶対的な自信が持てているわけではないよ。今でもガイドをしていて、ガイドをする分の英語にはそんなに不自由する感じではないし、時には「Your English is pretty good.」とか言ってもらえることもあるけれど、言ってもらえれば嬉しいけど、だからといって自信が持てているわけではない。まだまだ粗が目立つレベルでしかない。

　それでも、一応難関の全国通訳案内士試験を突破したことで、「あれれ、オレって実は結構英語できるのか？」という気にはなった。学生時代からこういう試験を受けることに否定的で、いや、否定的というと言い過ぎなので懐疑的といっておこうか。とにかくなんで誰かに認めてもらわなきゃいけないんだオレの英語力を、という屁理屈で、そういう試験を受けることなど考えたことはなかった。自分にとって英語とは時々海外旅行をする際に観光英語ができれば良くて、趣味の英語小説洋書読書が6割りくらい解れば良くて、誰とも比較せず誰にも評価されずという中でやっていたことなので、それで良かったけれど、いざお金をもらって英語で仕事をするということになると、やはりそれではいけない。どこかの会社に認めてもらってという必要はないが、お金を払ってくれる観光客に不便をかけてはいけないし、楽しんでもらえなければいけない。そのためには、多少の自信というものはあった方が良い。

　そのために、第三者の目による評価というのは役に立つ。なんだかんだといいつつも、そこそこ難関校といわれている学校に通ったということは自分の自信になっていると思うし、今回の全国通訳案内士資格取得というのもずいぶんと自信につながっている。なので、ここからが先に触れていた「課題」の2つ目なのだが、この英語のブラッシュアップをしたいと思っている。誰かに評価されたいということではないけれども、自信につながるというのは大事なことで、だからTOEIC900点台突破か、英検1級のどちらかをまずは目指したいし、そのために取り組む勉強は結果的に自身の英語力を磨いてくれるに違いない。

　そのためにある本を読んでみたが、その中に「TOEICには出題の傾向というものがあるので、それを理解して対策をしなければ高得点は取れない。英語力を全般的に上げていけばいつかはという気持ちで受験しても点数は伸び悩むだろう」という意見が書かれていた。まあそれはそうだろう。もちろん僕の場合TOEICの高得点を取って誰かに自慢したいとか、それを武器にして英語の就職をしようということではないけれども、高得点が自分の自信になることと、その過程で英語力も上がるだろうということは言えると思っている。なので、高い山に登るにはいろいろなルートがあるよ的な意味合いで、とりあえずはそういう試験にトライするというひとつのルートを足掛かりにレベルをあげていければという思いが強くなってきている。

　最後に「課題」の3つ目だが、これは中国語を勉強するというもの。今現在でこそ新型コロナの影響で中国人観光客は激減してしまっているけれども、そのうちに感染が収まればまた戻ってくる。その時に中国語ができるようになっていれば、ガイドとしての仕事も増えるはず。もちろん急にできるようになるわけではないだろうし、2年計画でHSK6級というあたりを狙えるように頑張ってみたいと思っている。

　そんなあれもこれもとやっていたら結局どれも中途半端になってしまうぞという意見はあるだろう。その心配はもちろんある。そもそも今年の12月には京都検定1級を取りたいと本気で思っているわけで、並行して3つの取組みをしなきゃというのはさすがに無理あるという気がしないわけではない。しかし、今自分の息子が小学校1年生で、もうすぐ2年生に進学するという状況で、お父さんが家で勉強をしているという姿を見せることには意味があるだろうなあと思ったりしている。その結果試験に合格するという実績を出していけば、それは多少息子にも良い影響があるんじゃないかなあとか、そんな勝手な妄想もあったりして、じゃあとことん頑張ってみようかなあと、まあそんな想いなのだ。それに、使える言語が複数あるということは、いざという時に自分を自由にさせてくれると思っている。漠然と思っている。それが結果的にその言語による本を読めるという程度のことであったとしても、その程度でいいじゃないか。

昨夜のニュースを聞いて耳を疑った。例の新型コロナウィルスで、専門家会議が「若者が感染拡大の可能性」と発表したというのだ。

【報ステ】専門家会議「若者が感染拡大の可能性」

北海道で感染者が拡大しているのは、「若い人は感染しても症状が出づらいため、感染に気付かないまま、他の人に移している可能性がある」からだと。

何を言っているのだ？

この会見で、10代〜30代はあらゆる外出に後ろ暗い気持ちを抱くことになるし、場合によっては後ろ指をさされる可能性が出てくる。40代以上はそういうことを感じる必要は出てこない（自主的に感じる場合はあるだろうが、それは会見とは関係ない）。なぜ若者にばかりそのような負い目を負わせることを平気で言うのだろうか？

そもそも、日本で感染が拡大するひとつの大きなきっかけとなったのはクルーズ船だ。クルーズ船に乗って優雅な旅をしているのは主にどの層だ？ 退職後にそこそこ自由に使えるお金を持っている高齢者世代だ。若者にも勝ち組と言われる富裕層がいるのはもちろんだが、絶対数としては少ないし、彼らが富裕になるためには懸命に働く必要があるのであって、優雅に旅をしているヒマはない。結果的に高齢者富裕層がクルーズ船の顧客である。もちろん彼らがクルーズ船で旅をした中で感染したことの責任などはない。だが、事実として高齢者がクルーズ船で旅をして、その中で感染したことを受けて国がその船と乗客に対してどのように感染防止対策を策定し実施したのかに大きな責任はある。その防止対策の策定と実施に関わったのは10代〜30代ではあるまい。50代〜60代あたりが具体的作業と決定を行なっている。その対策実施の中で乗客たちを次々と下船させ、下船した人たちが公共交通機関を使って帰宅し、帰宅後に陽性になったりしている。現象として、高齢者が優雅な旅の中で感染し、高齢者がその対策を考え、対策に従ってその後陽性になる人たちが公共交通機関を使って帰宅している。全部高齢者じゃないか。そこに若者の関与はどのくらいあるというのだ。

何度も断っておくが、だから高齢者に罪があると言っているのではない。感染した人に罪はないし、感性防止対策をした人が悪意で感染を広げるような策を考えたわけではないし、単に下船させられた人が国からハイヤーを用意されていなければ公共交通機関で帰宅するのは当たり前のことだ。彼らの中に罪がある人たちなどいない。だから彼らに対して「お前らが感染拡大させたんだ」と言うのは、あらゆる観点から見て酷い暴言でしかない。

だとしたら、だからこそ、感染拡大の原因が若者にあるということも、酷い暴言でしかないのである。

ここ1〜2週間が瀬戸際だから、換気のされない閉鎖的空間には年齢関係なく行くなと言えば済むことである。なぜそこに10代〜30代の若者に限定して行動自粛要請に等しい会見をするのかが理解できない。

今朝も自転車で移動していたら、とあるスーパーの開店時間を待つ人たちが大勢列を作っていた。全員高齢者だった。まあ若者は職場に出勤したりしているだろうから、朝からスーパーの開店に並ぶなんてことはしないだろう。だが、高齢者はヒマなのか、スーパーの開店を並んで待っている。いいのだ。別に並んだっていいのだ。人が何やろうと自由なのだ。ただ、そうやって高齢者も外出するし、人が集まるところに行ったりする。別に若者だけの話ではない。

若者も外出する。高齢者も外出する。だったら、全員外出を控えよう、でいいじゃないか。単純に外出を控えればいいということではないと思うし、そんな単純な策で押さえ込めるとは思わないけれど、1000歩譲って外出を控えるべきなら、老若男女問わず「外出を控えよう」と言えば公平だし平等だ。それを「若者が感染を拡大させた可能性」ということと「外出を控えて欲しい」ということとをセットで言うことによって、若者にだけ負い目や負担を背負わせようというところに、格差社会の根本原因があるように感じられてならない。

現在若者の多くは将来年金をもらえるとは思っていない。思っていないのに現在の高齢者のために年金を払い続けている。そして若者の多くが裕福な暮らしから遠ざかっている。一方で終身雇用と専業主婦（即ち共働きせずとも家族が暮らしていける）を成立させていた給与水準に守られていた人たちが年金でクルーズ船にも乗れる優雅な暮らしをしている。そういう人たちが都心に買ったマンションで静かに暮らしたいという欲求のために、地域に保育園を新設することが難しいという状況も生まれたりするし、夫婦共働き必須の世代が子どもを預ける先を見つけられないことが理由で妻だけが離職しなければならなくなったり、そもそも子どもを持つことを諦めたりしている。

こういう状況を見るに、高齢者が守られるために若者世代に多大な皺寄せがされていると言ってもけっして過言じゃないだろう。日常的に高齢者のツケを若者世代が払わされている社会なのだ。そのうえ、新型コロナウィルスの感染拡大まで若者のせいにされるのか、と思う。なぜこの国は若者を必要以上に根拠のない理由で虐げようとするのだろうか。会見をおこなった専門社会議の高齢者たちも、悪意を持って若者世代を虐げようとなど考えてはいないだろう。だが、差別や虐げというのはそもそもそういうベースの上に成立するものなのだ。人種差別も女性蔑視も、している人自身はそれが差別や蔑視だとはまったく気付いていないことがほとんどだ。だから、その差別や蔑視を続けていいのだろうか。いや、ダメだろうまったく。だから、その発言や考え方が差別的だということを、その人自身が学ぶ必要があるし、周囲は彼らが気づくために指摘をするべきだと思うのだ。

高齢者世代は、若者世代のことを虐げるな。自分自身のちょっとした行動や発言や思考そのものに、若者への蔑視や差別や虐げはないのかを、常に自問自答すべきだ。その観点からみて、昨日の専門家会議の会見はそこはかとなくかつ確実な若者虐待的なものでしかなかったと指摘したいし、そのことを自分は公平な人間であると思いたい人は理解すべきである。