なぜだかな、真央さんと書くのはヘンな気分なんだな。真央ちゃんとやれば変換も出るのに、真央さんとやると変換出なかった。そういうものなのかもな。

　さて、真央ちゃんのソチ五輪も終わり、結果6位。6位だって立派なものだぞ。でもそんなところを狙っていたんじゃないだろうから、やっぱり悔しかっただろう。観てる僕だって悔しかった。いや、悔しかったというのとはちょっと違うな。SPでの「ええ…、あれあれ…」という感じと、昨夜未明の「うーん、SPさえ普通にやれてれば」という感じ。SPでコンビネーションを入れてさえいれば、3Aが転倒でももう少し互角に争えたんじゃないかって、そんな想い。

　ただ、真央ちゃんのフリーをこんな気持ちで観たのは初めてだったような気がする。いつも優勝がかかった演技であり、ジャンプ。彼女が常に口にしてた「ノーミス」という言葉は「ノーミスならば優勝なんだから」という意味だったように思う。でも、きっとノーミスでも優勝ではないだろうというのが前提の、スケーティング。だからある意味、親が子供の運動会で「転ばずに走ってね」という気持ちで見るような、そんな想いで僕は見ていたような気がする。

　そう思うと、スケートってやはり芸術なんだなという気がした。シルクドソレイユなどの舞台もアスリート並みの肉体が要求される。だがそれを見る時に競技としては見ていない。もちろんスケートも競技とは違う舞台がある。元五輪選手が出るなんとかオンアイスってやつ。もちろんそれも結構すごいのだが、なんとなく、なんとなくだが、現役引退した野球選手が試合するようなものに思えてしまうのだ。

　真央ちゃんのソチ五輪フリーの演技は、まだそんななんとかオンアイスの演技とは違うし、完全に諦めるべき状況でもないし、事実日本選手最下位だったSPから2人を抜き去り日本人トップになった。それはやはり競技のスケーティングであったのだが、しかし日本人トップになるためのジャンプをやっていたのでもなく、かといってメダルを狙うためのものでもなく、ただひたすらに、自分のスケートをアスリートとして結実させるためのジャンプだったしスケーティングだった。

　最後の涙はなんだったんだろう。心境を想像することは容易だ。だが、言い当てることは難しく、理屈として理解出来たとしても、同じ心境になることは不可能だろう。それはバンクーバー以後の彼女の努力は彼女にしか解らず、努力とともに失ってきた様々なことの重みを完全に理解することなど誰にも出来ないからだ。でも演技が終わり、顔をくしゃくしゃにして感情をあふれさせたあと、また笑顔で観衆に挨拶をしているのを見て、なんか、良かったなと思った。いくつものジャンプを成功させたことも良かったけれど、結果として笑顔を取り戻せたのであれば、そちらがなによりだという気がする。いやまあそれも表面上の笑顔でしかなく、本意は彼女自身にしかわからないのだろうけれど。

　今回の五輪は、なんか面白かったような面白くなかったような。あまり注目もしていなかったけれど、結果として、いろいろなドラマがあったような気もしている。で、真央ちゃんは失敗しても注目され、やっぱスターってこういうものなんだろうなあと思った。スターというより、ヒロインなのかもしれないけれど。