ずーっと帰ってこんの

先日東京に行って、その日は帰宅できないので息子とはスマホをつかったテレビ電話。これが無料なのだから便利な世の中になったものである。いや、ビジネスも全部これっていうことになったら嫌だけど。だって、いつもビシッとしてないといけないわけでしょ。ん? 普通はそうだって? そんなの僕知りませんよ。まあ、リアルで人に会う時もたいした格好はしてないんだけれども。

で、そのとき息子が「お父さん、ずーっと帰ってこんの?」と一言。いやあ、困ったなあ。そんなわけないでしょ。帰るに決まってんでしょ。でもまあ今晩は帰らないので、息子よ、申し訳ない。

先々週も東京に行って2泊して、その時は2晩目にはお母さんと2人で寝る時にすこしだけ情緒不安定な感じになっていたそうな。その直前のテレビ電話ではテレビのアニメ(はなカッパ)に夢中でお父さんとの会話もそこそこに切ったくせに。でもまあ、ホントすまんな。その時は東京駅にあるトミカショップで限定のパトカーをおみやげに買って帰りました。1泊の時はそこまでしません。というルールを勝手に決めたところ、やはり1泊ではそんなに情緒不安定でもなかったらしい。慣れたのか、それとも1泊と2泊の差は大きいのか。よくわからないけど。

世の中には出稼ぎで冬中お父さんが不在とかいうケースもあるし、単身赴任で何ヶ月もお父さん不在というケースもあるし、海外に目を向けると軍隊に入って戦地に行っていつ帰ってくるかも、帰って来るのかどうかさえわからないというケースだってある。そこまでじゃなくとも、離婚してお父さんとはもう会えないということだってそんなに特別なことじゃない。そういうのに、子供はきっと慣れるのだろう。だから直接文句を言ったり毎日泣き通しということにもならないのだろう。それは人間というものの強さでもある。だが、心の奥の本人さえ気がつかないところで、やはり何かを抱えるのではないかと思う。だからといって世の中にはいろいろな事情があるし、やむを得ずそうなっていることを、誰かが誰かを責めるということもできないわけで。

野球選手が覚醒剤で逮捕され、それだけが原因ではないにせよ、離婚して子供と会えないことがとても寂しいという話が報じられていた。うん、それは寂しいよな。お金がいくらあっても埋められない穴だよな。そこはとても同情する。だからといって薬に手を出してはいけないのだけれど、それは重々承知しているけれど、その穴を、穴を持たない他人が評して何かの正論を語るのは、なんとなく社会の歪みではないかなあという気がする。そもそも論として離婚に至った原因が本人にもあるのではないかと責めても、そりゃあ原因はあるさ、あるに決まってんだろ、でも世の中に自分の理想通りの人生を歩めるヤツなんてどのくらいいるんだと、極論の反論をしたくなる。いや、誰を庇っているのでもないのだけれど。

そんなわけで、家を空けることはこれからもあります。でも息子との時間を最大限に大切にして、日々を過ごしていきたい。

なーんてことを言ってても、やがては息子の方が自立して、僕ら夫婦のところにはずーっと帰ってこん日がいつかは訪れるんだけれどもな。