岐阜県美濃加茂市の最年少市長が逮捕された件で、郷原信郎氏が弁護をすることになったそうだ。郷原信郎弁護士といえば冤罪関係をすぐに連想してしまう。最初はなんで知ったのだろうか？小沢一郎の陸山会問題では早くから無実を主張していた。担当弁護士でもないのに。そして事件は氏の言うとおり無罪で決着した。

　その郷原氏が弁護を受任し、潔白だと主張しているというだけで、僕などは「ああ、これは無実なのだな」とついつい思ってしまう。これはどうなのだろうか。

　マスコミが警察や検察の情報をリークする形で「逮捕された」と垂れ流すのを見て「ああ、犯人なのだな」と思ってしまうのと、郷原氏が弁護を受任し「潔白だ」と会見するのを見て「ああ、潔白なのだな」と思ってしまうのとは、同程度に思考停止だ。もちろんそこには過去の記憶が積み重なっているわけで、人によって警察バンザイの思考も、警察検察信用ならぬも、マスコミ常にいい加減の思考もある。人にはそういう偏った思い込みが必ずあるし、情報の偏りもある。だからこそ推定無罪の原則は重要なのだと、改めて感じた。根拠を持って有罪だと言い切るのも、根拠を持って無罪だと言い切るのも同程度に愚かであり、裁判の軽視である。が故に、判決が確定するまで推定無罪という前提で捉えるべきなのだ。

　郷原氏は会見の後にブログなのかなんなのか、文章を発している。それによると今回の嫌疑は美濃加茂市長が市議時代のものだそうだ。最初にテレビ報道を見たとき、市長として推進している事業で賄賂を貰ったという流れだったのだが、実はそうではなかった。そして金を渡した業者が事実を認めているとのこと。これは陸山会問題での水谷建設の役回りと同じ。後日その証言の信憑性は無いと断じられた「献金をした」的な証言を根拠に検察は立件しようとした。今回も同様のことである可能性もある。金を渡したと証言することでなんらかのメリットがあるのか？それも疑問だ。いずれにしても郷原氏の弁護を待ちたい。

　そして市長逮捕を受けて市の関係者が一斉に口撃をしているそうだ。郷原氏の文章によれば、みんなの党所属の政治家がもっともその口調を激しくしているらしい。みんなの党といえば最近の話題はもっぱら都議会ヤジ問題。渦中の下村都議はみんなの党所属。みんなの党をどう評価するのかは人それぞれでいいだろう。下村都議をよく言う人悪く言う人両方がいるし、渡辺喜美氏をよく言う人悪く言う人両方がいる。今回の美濃加茂市の批判者をどう見るのかも、市長逮捕をどう評価するのかによるはずだ。逮捕イコール有罪だと断じたい人は、批判発言を我が意の代弁者として全面支持するだろう。だが、僕は推定無罪無罪が民主主義で重要なのだという観点から、このみんなの党所属の政治家とやらにはその視点が欠けていて、とても残念な人だなという思いでいる。

　基本的にみんなの党は野党であるという立場をもって与党補完勢力として機能してきた。これが二大政党制を実現させない強力な装置として存在していたので、個人的にはとてもじゃないが支持など出来ない。だがそこに集う政治家１人１人をみていると、本当に下らない人もいれば、信頼できそうな人もいる。だから政治家も党に関わらず良い人も良くない人もいるという見方をしていきたい。それはとても難しいことではあるが、