土曜日、東京からの友人が京都へ。一乗寺のラーメンを食い、大徳寺高桐院で抹茶をいただき、一文字屋和輔であぶり餅を食い、カフェに行って別れた。

　日曜日、名古屋からの友人が京都へ。自宅に来てもらい息子と奥さんを紹介。その後天下一品白川総本店でラーメンを食い、お茶して別れた。

　京都に暮らすようになって思うのは、遠方からも友人が来てくれるということだ。それは京都観光のついでということもあるだろうが、離れているから機会があれば会おうということでもあるだろう。もちろん全員がフットワーク軽いわけではないので、来てくれる人が深い友人で来てくれない人が浅い友人などという短絡なことではないと思っている。でも、やはり来てくれる友人はありがたいし、わざわざ遠くまでという感謝の気持ちも持っている。

　結婚をして、子供を授かり、僕の生活は独身の頃とはまったく変わった。東京から京都に移り住んだことももちろん生活に変化をもたらしたが、それよりも家族が与える影響の方が大きいだろう。当然家族の存在は何にも変え難く、優先順位は最上位であるのは間違いない。だから家族中心の生き方に変わったことになんの後悔も躊躇いも無い。しかし、だからといって家族だけで僕という人格が成立しているわけでもなく、そういう意味ではこうして遠くまで会いに来てくれる友人の存在というのは掛け替えの無い宝だと思う。

　ゲーテの言葉に「水と空気と友人、それだけ残っていれば落ち込むことはない」というものがある。どんなに逆境にあっても、それだけあれば大丈夫だという意味だろう。水と空気がなければ当然生きることがままならぬ。それ以外に必須なものが友人だというのが興味深い。家族でもなく、友人なのだ。ゲーテの言葉が唯一絶対の真理だということではないけれど、まったく無意味とも思い難い。

　土曜に来てくれた友人は独身で、だから今は仕事が最優先。金曜の夜に仕事で大阪にいて、それで明けた土曜に京都に立ち寄ってくれたわけだ。彼にとって、僕は水と空気の次に大切な友人で有り得るのだろうか。日曜に来てくれた友人は若くに結婚し、今日が長女の成人式だという。おいおい成人式の日に僕などと過ごしてていいのかというと、じゃあお前は成人の日に親と過ごしたのかと逆に聞かれた。そりゃそうだ。20歳にもなれば親よりも友人だった。だから別にいいのだ、いると却って邪魔になるという。彼は東京に持ち家があり、彼自身は名古屋に単身赴任をしている。子育てもある程度の目処がつき、これからの人生は家族とべったりというものとは違ってくるという。今まさに子育てを始めたばかりの僕とは違った視点を見せてくれて、興味深かった。

　二人とも長い友人だ。土曜の友人は大学1年の時からの腐れ縁で29年間の付き合い。日曜の友人は高校1年からの腐れ縁で34年の付き合いになる。いやはやなんとも、歳をとるわけだ。そういう友人が相次いで京都を訪ねてきてくれた。嬉しくも、ただ嬉しいというだけとはまた違った、考えさせられる土日だった。